アパート経営でプロパンガスを契約するメリットとデメリットについて

アパート経営でプロパンガスを契約するメリットとデメリットについて

アパート経営
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アパート経営において、インフラとなるガスには「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類から選択できます。プロパンガスといえばガス代が高いとのイメージがあると思いますが、アパート経営という面から見るとメリットもあります。

そこで、アパート経営はプロパンガスを選ぶほうが良いのかどうかを解説します。導入におけるメリットのほかに、注意点についても説明するので参考にしてください。

プロパンガスにするメリット

アパート経営で都市ガスよりもプロパンガスにしたほうがよいメリットを説明します。

設備の無償貸与が受けられる

プロパンガス会社と契約をすることで、給湯器を無償貸与してくれることがあります。アパート経営にはさまざまな設備が必要ですが、自腹で買い揃える必要がなくなる点がメリットと言えます。

給湯器のほかにもビルトインコンロやエアコン、さらにはインターホンといった賃貸物件には不可欠な設備を無償貸与するプロパンガス会社もあります。新規でこれらの設備を導入するとなれば、それなりの費用がかかります。

また新築で建てたアパートの場合、築年数が15年ほどになれば設備も古くなるため交換が必要になります。特に給湯器は交換時期が定められていますし、その時期を過ぎると不具合が生じても交換できる部品がなくなります。

設備を入れ替えるタイミングでプロパンガス会社と契約をすることで、このようにアパート経営で必要となる設備を無料で導入できる点がメリットと言えるでしょう。

リベートを受け取れる

プロパンガス会社と契約することで、リベートを受け取ることができます。これは入居者が支払うガス代の一部をキックバックされる仕組みになっています。

ただしこれは大家としてみればメリットになりますが、入居者にとってはガス代の負担増加につながります。つまり入居者のデメリットが大家のメリットとなる形なので、リベートやキックバックを受け取るのかどうかはよく検討したほうがよいでしょう。

当然ですが、入居者にガス代の負担が大きいと判断されると、更新時の退出等の原因につながってしまいますので、長い目で見るとあまりお得ではない選択かも知れません。

給湯器の支給程度ならお得

給湯器やエアコンなどの設備を無償貸与できるプロパンガスですが、そのかわりにガス代にその費用を上乗せされる仕組みとなっています。つまり、賃貸アパートに設備された給湯器やエアコンの設備費用を分割する形で入居者が負担するということです。

そのため、プロパンガスの使用料は都市ガスと比べるとかなり高くなります。

無償貸与される設備が増えるほどに上乗せされたガス代が高くなり、上記リベートと同じ様に退出率の増加につながる恐れがあります。

その為、給湯器程度の支給におさめておいた方が良さそうです。

リフォーム料金の引き当てに注意

プロパンガス会社は給湯器などの設備導入のほかに、リフォーム工事を行うところもあります。たとえば風呂釜が古いので、新しいものに交換するといった形でリフォーム工事を行います。

そのリフォーム料金を引き当てる場合には、過度な金額とならないように注意しましょう。

リフォーム料金は実際に工事をしてみないと金額が確定しない場合があります。そこでリフォーム費用を引き当てするケースがあります。

つまり契約時にある程度のリフォーム費用を見積もり、引き当て金として契約するというものです。差額はキャッシュバックなどで返還されますが、引き当て金は毎月の入居者のガス代に組み込まれます。

過度にリフォーム料金を引き当てると、大家にとっては得をすることにもなりますが、入居者の負担が増えることになります。そのため、過度なリフォーム料金の引き当ては避けたほうがよいでしょう。

ガス会社の乗り換えという方法も

プロパンガス会社を乗り換えるとどのようなメリットや注意点があるのかを説明します。

ガス料金を安くできる

プロパンガス料金は入居者が支払うので、大家には直接関係のない話ではあります。しかしプロパンガス料金を安くすることは、入居者にとってプラスとなることなので入居率の向上につながります。

プロパンガス料金は単純にガス代のほか、設備の導入費用の上乗せなどが加算されます。トータル的にみてガス料金を安くできるプロパンガス会社を見つけることができれば、大家にとってはアパート経営の収益率向上につながります。

プロパンガス会社乗り換えの注意点

プロパンガス会社を乗り換える際に注意すべきは、前のプロパンガス会社との契約内容です。給湯器などの設備を無償貸与してもらっている場合には、指定された契約期間内に契約解除をすると、設備の買い取り請求による高額出費となる可能性があります。

またプロパンガス会社同士の競争によりガス代を安くするケースがある反面、契約した途端にガス代を値上げすることもあります。そのような会社を見極めるのは難しいため、プロパンガス会社を乗り換えたことによりかえってガス料金が高くなる可能性もあります。

そのようなリスクを内包する点にも、プロパンガス会社の乗り換えには注意が必要です。また設備の無償貸与期間が長くなり解約できるまでの期間が長引くこともあるので、プロパンガス会社の乗り換えには注意しましょう。

ビン倒しと契約縛りに注意

プロパンガスの「ビン倒し」とは何か、そして契約縛りとどのような関係があるのかを説明します。

「ビン倒し」とは

「ビン倒し」とはプロパンガス会社に無断で勝手に自社のボンベに取り替える業者が行う行為のことです。このような行為を禁止するために「1週間ルール」というものが定められました。

この1週間ルールとは、旧事業者が所有する供給設備は1週間程度以内に撤去し、それまでの間は新事業者が無断でそれまで使用していた設備を撤去することを禁止するというものです。

ただしビン倒し業者には、それまで使っていた支給品を買い取るケースがあります。支給品は無償貸与という形になり、契約期間内での解約には高額な買い取り請求をされることがあります。

その買い取る支給品をビン倒し業者が買い取ることで、違約金の支払い原資にできるというわけです。トラブルが発生しないようにビン倒し業者を利用すれば、契約縛りによる損失を回避することも可能になるでしょう。

プロパンガスの契約縛りについて

プロパンガス会社との契約内容はしっかりと確認しておきましょう。特に契約期間に縛りがある場合には注意が必要です。

たとえば契約期間内に解約すると、違約金が発生する場合があります。ほかに条件の良いプロパンガス会社が見つかったとしても、契約期間が経過する前に乗り換えると無駄な出費が生じてしまいます。

またプロパンガス会社を乗り換える際にも、キャッシュバックを受け取るために契約縛りがあるというのはよくあるケースです。

余計な出費が生じないように、プロパンガス会社と契約する前に契約書にはよく目を通しておきましょう。

賃貸のうえで注意すべきこと

アパート経営でプロパンガスを設備している場合、注意すべきことは何かを説明します。

入居者にガス料金の内訳を説明する

2017年6月から家主は、プロパンガス会社との契約内容を入居者に開示することが義務付けられました。これはそれまで不透明だったプロパンガス料金の透明化を図るのが目的です。

設備費用をプロパンガス会社が負担し、それを入居者が支払うガス料金に転嫁している場合にはその旨を料金明細に記載し入居者にも説明する義務があります。

その内容に入居者が納得しないことも考えられるため、プロパンガス会社と契約する際には注意が必要です。

プロパンガス会社の乗り換えには注意を

プロパンガス会社との契約には「縛り」に注意が必要です。そのうえで、条件の良いプロパンガス会社が見つかれば乗り換える際にも注意しましょう。

現在契約しているプロパンガス会社との契約内容を留意しつつ、違約金が発生しても損することなく乗り換えができるかどうかを吟味しなければなりません。また新しいプロパンガス会社との契約で、あらたな縛りが発生しないかどうかも確認しましょう。

賃借人のメリットとなることを考える

プロパンガス会社との契約そのものには、大家にとっては得をする内容となることがあります。しかしそれは入居者のデメリットとトレードオフの関係にあるので、入居率の低下につながっては意味がありません。

そこでプロパンガスのガス代が多少は高くとも、入居するメリットがあることを訴求することも必要です。たとえば周辺の家賃相場よりも単価を安くしたり、オール電化にしてガス代の負担を減らすといったことが考えられます。

プロパンガスの利用だけではなく、それに付随して入居者のメリットにつながることを考えることが必要であると認識しておきましょう。

まとめ

プロパンガスには設備を無償貸与されるメリットがある反面、ガス代が高くなるデメリットもあります。これは入居者にとって固定費の負担が増えることを意味するため、安易に大家としてのメリットを享受するわけにはいきません。さらにプロパンガス会社との契約にも縛りといった条件が加わるので、プロパンガスを導入する際には十分に検討することをおすすめします。

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